1. 航空券の「時価」にお金を払うな
多くの日本人が、「東京から出発して東京に帰る」という固定概念に縛られています。しかし、航空券の価格は「その国の購買力」と「路線の需給バランス」で決定されます。
インバウンド需要で高騰する「日本発」のチケットを買うことは、投資で言えば「最高値掴み」をしているのと同じです。
一方で、マレーシア(クアラルンプール)や韓国(ソウル)は、航空会社間の競争が激しく、かつ物価水準の影響で、日本発の半額以下でビジネスクラスが販売されています。
プレエコ/Biz 価格格差 (TYO vs KUL vs SEL)
ご覧の通り、クアラルンプール発(KUL-TYO-JFK往復)のビジネスクラスは、東京発(TYO-JFK往復)の半額程度です。しかも、KUL-TYOという長距離フライトが「おまけ」で付いてくるため、獲得プレミアムポイント(PP)は1.5倍に跳ね上がります。
2. 禁断の永久機関「KUL-Loop」の全貌
この価格差を活かし、永遠に海外発券を繰り返す手法が「KUL-Loop(クアラルンプール・ループ)」です。
ポイントは、「KUL発〜北米行き(東京経由)」のチケットを購入し、経由地である東京で数ヶ月の「ストップオーバー(S/O)」を行う点にあります。
ストップオーバー(S/O)とは?
乗継地(東京)に24時間以上滞在する制度です。通常は数千円の手数料で、数ヶ月単位の滞在が可能です。つまり、ANAから見れば「乗継中の長休憩」ですが、我々からすれば「いつもの日本生活」になります。
Execution Roadmap
3. なぜKUL(クアラルンプール)なのか?
世界中に安い発券地はありますが、KULが「聖地」と呼ばれるには3つの理由があります。
1. 圧倒的なPP単価: アジア・オセアニア路線はANAの路線倍率が1.5倍です。日本-欧米(1倍)に比べ、効率が桁違いです。
2. タッチ修行の容易さ: 空港内にトランジットホテル(Sama-Sama Express)があり、入国せずにシャワーを浴びて仮眠し、そのまま折り返すことが可能です。
3. 豪華なラウンジ: マレーシア航空のGolden Loungeをはじめ、ワンワールド・スターアライアンス双方の質の高いラウンジが利用可能です(プライオリティパス含む)。
発券地別スペック比較(対 東京発)
東京発(定価) | ソウル発(GMP/ICN) | KUL発(最強) | |
|---|---|---|---|
| 価格優位性 距離単価はKULが異常 | 基準 | 30-40% OFF | 50-60% OFF |
| 日本からの距離 移動の負担はソウルが楽 | 2.5時間 | 7.5時間 | |
| 路線倍率 どちらもアジア路線扱い | 1.0 - 1.5倍 | 1.5倍 | 1.5倍 |
| 便数・頻度 スケジュールの組みやすさ | 多数 | 1日複数便 | 1日1-2便 |
| PP単価期待値 DIA維持ならKUL一択 | 12 - 15円 | 8 - 10円 | 6 - 8円 |
4. プロが教える運用リスク管理
この手法には、明確なリスクが2つ存在します。これを知らずに手を出すと、空港で呆然とすることになります。
Risk 1: 「分離発券」につきまとう乗り遅れリスク
日本からKULへの移動(ポジショニング)の便と、KUL発の便は「別々の契約」です。もし日本発の便が台風で遅れ、KUL発の便に乗れなかった場合、ANAは補償してくれません。最低でも乗り継ぎ時間は4時間、できれば前泊するのがプロの鉄則です。
Risk 2: 変更不可運賃の罠
安い海外発券は予約クラスが厳しく、変更・払い戻しができないケースが多いです。「Super Value」などの最安運賃ではなく、数万円高くても変更可能な「Flex」寄りの運賃を選ぶことが、結果的に防衛費として機能します。
5. ダイヤモンド維持のコスト試算
10万PPを稼ぐために必要なコストを比較します。
この差額70万円は、あなたの手元に残る現金です。あるいは、その浮いたお金で、現地のホテルをスイートにアップグレードすることもできます。
6. 結論:消費から戦略的投資へ
航空会社が提示する定価を黙って受け入れるのは「消費者」です。しかし、ルールの歪みを見つけ、自分の有利な土俵で戦うのが「戦略家」です。
私たちには「どの国から飛ぶか」を選ぶ自由があります。もしあなたがダイヤモンドステータスを目指すなら、まずはパスポートを持って、南への片道切符を買うことから始めてみてください。そこには、今まで見えなかった新しい空の景色が広がっています。
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