1. 航空券の「時価」にお金を払うな

多くの日本人が、「東京から出発して東京に帰る」という固定概念に縛られています。しかし、航空券の価格は「その国の購買力」「路線の需給バランス」で決定されます。

インバウンド需要で高騰する「日本発」のチケットを買うことは、投資で言えば「最高値掴み」をしているのと同じです。

一方で、マレーシア(クアラルンプール)や韓国(ソウル)は、航空会社間の競争が激しく、かつ物価水準の影響で、日本発の半額以下でビジネスクラスが販売されています。

プレエコ/Biz 価格格差 (TYO vs KUL vs SEL)

1100000東京発 NYC(Biz)450000東京発 NYC(PE)550000KL発 NYC(Biz)480000ソウル発 NYC(Biz)

ご覧の通り、クアラルンプール発(KUL-TYO-JFK往復)のビジネスクラスは、東京発(TYO-JFK往復)の半額程度です。しかも、KUL-TYOという長距離フライトが「おまけ」で付いてくるため、獲得プレミアムポイント(PP)は1.5倍に跳ね上がります。

2. 禁断の永久機関「KUL-Loop」の全貌

この価格差を活かし、永遠に海外発券を繰り返す手法が「KUL-Loop(クアラルンプール・ループ)」です。

ポイントは、「KUL発〜北米行き(東京経由)」のチケットを購入し、経由地である東京で数ヶ月の「ストップオーバー(S/O)」を行う点にあります。

ストップオーバー(S/O)とは?

乗継地(東京)に24時間以上滞在する制度です。通常は数千円の手数料で、数ヶ月単位の滞在が可能です。つまり、ANAから見れば「乗継中の長休憩」ですが、我々からすれば「いつもの日本生活」になります。

Execution Roadmap

スタート(初回のみ)
Milestone
日本脱出
特典航空券やLCCを使い、片道でクアラルンプール(KUL)へ飛びます。これが唯一の『捨てチケット』になります。
チケット① 往路
KUL -> TYO (帰国)
海外発券のチケット①を開始。KULから東京へ戻ります。ここで『ストップオーバー』を宣言し、一度日常生活に戻ります。
数ヶ月後
日本生活
次の連休まで、普通に日本で生活して働きます。チケット①はまだ『旅の途中』扱いです。
チケット① 復路
TYO -> NYC
GWや夏休み。チケット①の続きとして、東京からニューヨークへ飛びます。ここでチケット①は終了(北米行きの場合)。
チケット② 往路
NYC -> TYO -> KUL
帰りは『北米発KUL行き』のチケット②を新規発券し、東京を経由してKULへ戻ります。これでまたKULに戻り、ループが完成します。

3. なぜKUL(クアラルンプール)なのか?

世界中に安い発券地はありますが、KULが「聖地」と呼ばれるには3つの理由があります。

1. 圧倒的なPP単価: アジア・オセアニア路線はANAの路線倍率が1.5倍です。日本-欧米(1倍)に比べ、効率が桁違いです。

2. タッチ修行の容易さ: 空港内にトランジットホテル(Sama-Sama Express)があり、入国せずにシャワーを浴びて仮眠し、そのまま折り返すことが可能です。

3. 豪華なラウンジ: マレーシア航空のGolden Loungeをはじめ、ワンワールド・スターアライアンス双方の質の高いラウンジが利用可能です(プライオリティパス含む)。

発券地別スペック比較(対 東京発)

東京発(定価)
ソウル発(GMP/ICN)
KUL発(最強)
価格優位性
距離単価はKULが異常
基準30-40% OFF
50-60% OFF
日本からの距離
移動の負担はソウルが楽
2.5時間
7.5時間
路線倍率
どちらもアジア路線扱い
1.0 - 1.5倍1.5倍1.5倍
便数・頻度
スケジュールの組みやすさ
多数
1日複数便
1日1-2便
PP単価期待値
DIA維持ならKUL一択
12 - 15円8 - 10円
6 - 8円

4. プロが教える運用リスク管理

この手法には、明確なリスクが2つ存在します。これを知らずに手を出すと、空港で呆然とすることになります。

Risk 1: 「分離発券」につきまとう乗り遅れリスク

日本からKULへの移動(ポジショニング)の便と、KUL発の便は「別々の契約」です。もし日本発の便が台風で遅れ、KUL発の便に乗れなかった場合、ANAは補償してくれません。最低でも乗り継ぎ時間は4時間、できれば前泊するのがプロの鉄則です。

Risk 2: 変更不可運賃の罠

安い海外発券は予約クラスが厳しく、変更・払い戻しができないケースが多いです。「Super Value」などの最安運賃ではなく、数万円高くても変更可能な「Flex」寄りの運賃を選ぶことが、結果的に防衛費として機能します。

5. ダイヤモンド維持のコスト試算

10万PPを稼ぐために必要なコストを比較します。

全て日本発で調達: 約120〜150万円
KULループ(Biz)活用: 約65〜80万円

この差額70万円は、あなたの手元に残る現金です。あるいは、その浮いたお金で、現地のホテルをスイートにアップグレードすることもできます。

6. 結論:消費から戦略的投資へ

航空会社が提示する定価を黙って受け入れるのは「消費者」です。しかし、ルールの歪みを見つけ、自分の有利な土俵で戦うのが「戦略家」です。

私たちには「どの国から飛ぶか」を選ぶ自由があります。もしあなたがダイヤモンドステータスを目指すなら、まずはパスポートを持って、南への片道切符を買うことから始めてみてください。そこには、今まで見えなかった新しい空の景色が広がっています。

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Executive Summary

世界地図を広げよう

『日本から出発して日本に帰る』という常識を捨てた瞬間、世界は劇的に狭く、そして安くなります。航空券のルールブックをハックし、自由に空を飛び回りましょう。